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法的思考って何だろう?

まなび創造コースでは4月の間は特別時間割を組み、スペシャルゲストやスペシャルなツアーを計画しています。

18日月曜日は午前と午後で2本の講座を受講。

午後は、こども六法練習帳や、「幸せ」な学校のつくりかた――弁護士が考える、先生も子どもも「あなたは尊い」と感じ合える学校づくり』の著者でる真下麻里子弁護士に、「法的思考」って何だろう?をテーマにワークショップを取り入れながら話をしていただきました。
法的思考には、自分の「行動」と自分の「気持ち」を上手に結びつけていくことが大切ということで、「自分と相手を尊重する」ってどういうことだろう?と考えられることを目標に話していただきました。


こども六法練習帳

法律ってなんだろう?

法律のイメージは

  • 逮捕される

  • 罰を受ける

  • 上から押し付けられる

  • 自分の行動を制約される

とあるが、実際には日常の中に当たり前のように存在するものであると紹介されました。そして、どうしてこのようなイメージがあるかというと、トラブルが起きたときに見えやすくなることだそうです。

「法律」とは?

次に、法律について紹介があり、憲法と法律の違いから説明していただきました。法律は国会が決めるものであり、法律が暴走するのを防ぐために、憲法が規制しているということ。そして、その憲法は個人の尊重(尊厳)を大切にしている。という位置づけであるということでした。

そして、法律の目的は「すべての個人を尊重すること」であり、個人の尊重することが大切であると繰り返し伝えてくださいました。

法的思考とは?

「自分」と「相手」をどちらも尊重する考え方。ここで大事なのは「自分」を大切にすること。そのため、こども六法練習帳では、本の構成が
第1章 総論
第2章 「きみと友達を守る」
第3章 「きみと先生を守る」
第4章 「きみと家族を守る」
と、「自分と〇〇」という構成になっていることも紹介いただき、そこからワークを行い始めました。

自己決定権について

自己決定権(日本国憲法第13条)がある。自分のことを自分で決定することができる。若い場合は制限される場合もあるが、基本は子どもも大人も自分のことは決めることができると定められているそうです。

今回、ワークで取り扱ったのは「あだな」について。
「どのように呼んでほしいか」は自分で決められる→「同意」という
「どのように呼ぶか」=相手の同意が必要
「同意の範囲」があって「範囲外」のことはできない。
「同意した範囲」を越えて言うことはできない。
という視点があることを紹介していただきました。

あだなが、全てケースで「いい」でも「悪い」でもなく、自分と相手の同意によるものだということは、学校現場で丁寧に取り扱って行く必要があることだと感じました。

いじめ防止対策推進法について

いじめを早く見つけて対処するために作られた法律が「いじめ防止対策推進法」。その中で、やられた人が「心身の苦痛」を感じる行為をいじめと捉えるということを説明がありました。「あだな」の例えで言うと、「同意した範囲」の外の人だったり理由付けで呼ぶことは「心身の苦痛」を与える可能性があることが取り上げられていました。

「いじめ」をやってはいけない理由として、真下弁護士は、
『人の「尊厳」を傷つけるから(法1条参照)』といい、「尊厳」=「自分も相手も尊重されている状態」と伝えてくださいました。

それと同時に、内心の自由(日本国憲法第19条)があることも紹介していました。心の中は「絶対的に自由」であること。何を楽しい。何をイヤだ・嫌いだ。と思うことは問題がない。負の感情も大切である。
しかし、それが外にでると社会的に問題が生じる。「手段の選択」が問題となる。「からかっている」ということでも、その「手段」としては間違っていること。学校は「手段の選択」を練習する場所であると伝えてくださいました。

「私」の権利と「あなた」の権利はつながっている。

また、次のワークでは、先生のいじめを見つけたらどうするか?というものでした。ここで、取り上げられていたのは、「私」の権利と「あなた」の権利はつながっているということでした。こういったケースでは、長期的な視点と短期的な視点でみると

長期的な視点:10年後には社会に出る。そのときに、そういった職場がなくなることは、みなさんの利益につながる

短期的な視点:あの先生頼りないんだよね。あれくらいは仕方ないんじゃない?しょうがないよねとしていくと、若い先生と似た立場になったら、未熟な自分が悪いので我慢します。と自分に返ってきてしまう。
これは、自分に対する権利侵害まで「あってよいこと」にしてしまう。心理的安全性が保たれない。

と、両方の視点から、相手の権利侵害は、自分の権利侵害と地続きであることを解説していました。

また、権利の調整には「縦の関係性」と「横の関係性」があるとも、伝えていました。

  • 横の関係性 私とあなた

  • 縦の関係性 私(個人)と組織(国・行政・会社)

横の関係性はわかりやすいですが、縦の関係性は意識しないとわからなくなること。縦の関係性の枠組みとしては、組織に権限を与える。困ったときは、個人が権利を行使しましょうとなっている。権利がワガママだと思っていると、行使することができなくなる。

「権利の上に眠る者」は保護しない。知らなければ、消えてしまう権利もある。ワガママだと言っている場合ではないということを知るということは大切。まずは「理不尽に気づく」ことが非常に重要。と説明がありました。

こうした「権利」のあり方について、学校で丁寧に扱うことが少ないと感じています。まなび創造コースでは、年間を通じて、こども六法練習帳を用いながら、生徒たちと、自分たちと他の人たちを尊重することを理解する時間を取っていく予定です。

まとめ

  • 法的思考=自分も相手も尊重する考え方

  • 縦の関係性と横の関係性は意識したほうがいい

  • 法を学ぶ理由=自分が「尊重されている」ことを知る

  • 細かい条文よりも「法の精神」がまず大事

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